※ここでは各種類のオイルの長所・短所の解説です。
★鉱物油
石油を分留して得たベースオイルを100%使用したオイルのことを言います。長所としては、ゴムのオイルシールなどに対して悪影響を与えない事と、コストが安いことです。短所としては、低温特性が悪いことと耐熱性があまりよくないことです。
★半化学合成油
鉱物油と合成油とを半々で使用したオイルのことを言います。長所としては、鉱物油に対して合成油を使用した分低温特性及び耐熱性の性能を少し改善できるところです。短所としては、処方によつては性能が殆ど上がらず無駄にコストを上げてしまうことです。
★100%炭化水素化学合成油
一般的に、100%化学合成油と言つたらポリアルファオレフィンとエステルを約8:2で混ぜて作つた合成油のことを言います。長所としては、低温特性が良い事と耐熱性が良い事です。短所としては、ゴムのオイルシールに対して炭化水素系合成油は縮め、エステルは伸びる影響を与えます。ですから約8:2で混ぜて使わなくてはなりません。また、鉱物油に比べてコストが高いと言う点もあります。
★100%エステル化学合成油(フルエステル)
エステル化学合成油を100%使用して作ったオイルの事を言います。長所としては、低温特性及び耐熱性が良い事と、鉱物油・炭化水素系合成油に比べ、ずば抜けた潤滑性能を示します。その理由として、通常鉱物油及び炭化水素系合成油はオイルの硬さで油膜粘度を出すのすが、エステル化学合成油は、極性と言って電気的に物理吸着します。早い話が、オイルがこびり付くと言うイメージをして下さい。短所としてはベースオイルの選び方が非常に難しい事です。よく調べないで使うとオイルシールを伸ばしたり、加水分解と言って水分によってオイルが分解されやすい物があります。また、炭化水素系合成油より更にコストが高いことも欠点かもしれません。
<用語解説>
★動粘度
動粘度とは、液体が動力方向に流れ落ちる時の速さのことで、液体の粘りを定義します。どのオイルにも40℃ の時(エンジンが冷えている時の状態)の粘度と100℃ の時(エンジンが暖まつている時の状態)の粘度が書かれていますが、エンジンが暖まつている100℃ の状態では、数値が大きければ粘りが強い、逆に小さければ粘りが少ないと言うことになります。
★粘度指数
オイルの粘度が、温度変化によってどのくらい変化するかを数値に表したもので粘度指数が大きいほど温度が上昇しても、粘度変化が少ないことを示し品質が優れているということになります。
★流動点
オイルは、低温になるとオイルに含まれているロウ分が結晶化し、さらに冷えていくと最後には固まってしまいます。流動点とは、低温に対してここまでならオイルが固まらないという温度を表しています。オイルを冷却した時に、オイルが流動する最低の温度が流動点です。寒冷地など外気温が低い地域でのコールドスタート時などに影響してきます。