ロンドン駐在スタッフ報告7
ロンドンにいると、少なくともクルマに関しては、たいていのことでは驚かなくなりました。フェラーリは赤、青、黄、黒、白の、五色(笑)見ましたし、マクラーレンもこの間路駐していました(写真機を持っていなかった)。こうなると、ベンツもポルシェも、「大衆車」のたぐいです。そうは言っても、「そこのけ」みたいに抜いていくのは、やはりベンツ、ベンベなのは、虎の威を借る日本ドライバーと似ていて面白いですね。
日本ではまずお目にかからない車種もさまざまありますが、韓国車、東欧車もよく見かけます。とはいえ、東欧車はブランドだけで、実際はメジャーどころの製品です。懐かしいイギリスブランドのヴォクスホール(ヴォグゾール)も、オペルなどと実質は同じ車です(そのオペルも、日本にはもうありませんね)。
日本車といえば、日産、三菱も多いです(両方ともルノー傘下になりましたね)。人気なのは、日本でいう「マーチ」の、それも旧式の丸いやつで、みんなずいぶん大事に乗っています。ああいう形が、イギリスの好みなのだと思います。それからじつに珍しいのは、「フィガロ」が結構現役なことで、あれがニュービートルやニューミニ、ニューチンクェチェントなどのいわゆる旧車風味クルマの嚆矢となったのですから、いかにこちらのマーケットに衝撃を与え、受け入れられたかということを物語っています。すなわち、旧「マーチ」プラットフォームが、いかに素晴らしかったかということです。
せっかくいい萌芽があってもそれを土台にして育てることもできず、表面上のコマーシャリズムに振り回され、飽きっぽくてますますデザインが悪趣味かつ薄っぺらくなっていく日本、と言えば反発を覚える人も多いことと思います。でも、京都の町屋をうまく復興させようとしたり、古美術の伝統を現代にうまく生かしたりしようとして、しきりに提言しているのも、またイギリス人ですよね。
日本にあれば国宝級の最高品が、ここイギリスにぞろぞろ見られるのも、また理由のないことではない、と思います。